突然ですが皆さん『最強の格闘技は何か?』と聞かれたらどのような答えを思い浮かべますか?
このブログの読者の方はほとんどが柔術家の方でしょうから、やっぱり柔術?それともボクシングやレスリング?
数ある格闘技の中で、『どの格闘技が最も強いか?』について考えるのは、非常に楽しい時間ですよね。
永遠に答えの出ない問いのように感じるこの質問を、『武道家ときどきライター』として活動している筆者の柔術仲間、ハシマトシヒロさんにぶつけてみました。
・『武道家ときどきライター』
空手、空道、柔術と多くの格闘技に取り組んできた経験のあるハシマさんが考える最強の格闘技とは何か?
ハシマトシヒロ特別コラム、是非お読み下さい!
ハシマトシヒロコラム『最強の格闘技とは?』
「ハシマさんの考える最強の格闘技はなんですか?」
このサイトの管理人である、トミショーさんに聞かれた。
「最強の格闘技なんてありません。強い弱いは個人の問題です」
以上。
原稿料は、前もって指定した口座にお願いします。PayPayに送金してくれても構いません。わざわざ現金書留で送るってのも、それはそれで風情があっていいかも知れません。
なんなら、「原稿料の代わりに酒おごりますよ」ってのも、“粋”だと思います。
とりあえず、支払い方法はおまかせします。
ではまた! さよなら三角、また来てしかk……、ブチブチブチ。
ヒールホールドで膝靭帯をぶち切られました。そのままダースチョークに入られました。ここはすぐさまタップします。そもそも練習で、極まってるのにタップしないとか、もう愚の骨頂です。靭帯を切られたのは、僕のタップが遅かったせいです。これは僕が悪いです。トミショーさんは1mmも悪くないです。普通練習でヒールを一気に極めたりしませんし、そもそも白帯にヒール極めるか?って意見もあるでしょうし、僕も潜在意識ではそう思ってますが、文句は言いません! ひと言も! 僕は武道家ですから!
まー、僕ほどの腕前になると、技が極まる前にタップします。将棋の対局で、まだ詰んでないのに「参りました」する場面を見たことないですか? あれは、お互いに何手も何手も先を読んでいるから、このまま指してももう勝てないことがわかるわけです。僕の場合もおんなじです。十手先、二十手先まで読んでいます。なんなら、グータッチした瞬間にタップします。読んでるんで。
しかし、もう200回ぐらいタップしてるのに、トミショーさん一向に離さないな。多分、落ちるな俺。てかトミショーさん怒ってます?
*
最強の格闘技。
打投極すべて揃っているからMMA最強。
……だとしたらあまりにもロマンがないし、そんな単純なものでもない。
「この正拳をぶち込んだらねぇ、レスラーでもボクサーでも牛でも、みんな一発で倒れるんだよキミィ!」
昔、その独特な口調で、血気盛んな若者を啓蒙した空手家がいた。
「柔道家やレスラーはねぇ、相手を掴まないと技をかけられない。1で掴み、2で技をかけるという2挙動が必要だ。しかしねぇ、空手家の突き蹴りなら『イチッ!』(突然正拳突き。インタビュアー驚く)でもう相手に当たってるんだよ。だからねぇ、最強の格闘技は空手だよ。そして最強の空手というものがあるならば!(声が大きくなる)それは『極真』だよ」
組技系の格闘技は、一旦相手を掴まないといけないから弱い。打撃系の格闘技は、1挙動で技を当てれるから強い。いま思えばめちゃくちゃな理論である。しかし、超カリスマ性のある人が大きな声で自信満々に話したら、「そうに違いない!」と聴衆は思い込んでしまう。
とりあえず、大きな声大事。
僕は10代の頃に一度だけその先生にお会いしたことがあるが、
「声が小さいよキミィ!!」
とむちゃくちゃ怒られた。初対面なのに。
「声が小さい男は大物になれんよキミィ!!」
さらにダメ押しされた。
その日から僕は努めて大声で喋るようになり、
「あいつ声デカくてうるさいですよね」
と陰口を叩かれるまでになった。
「極真空手最強!」と思って稽古に励んでいたある日、アメリカのデンバーで「第1回UFC」が開催された。
優勝は、日本でも馴染みのアメリカ人プロレスラーかオランダ人空手家辺り(共にヘビー級)かと思われた。
しかし、この両名を撃破して表彰台の頂点に立ったのは、「グレイシー柔術」という聞きなれない格闘技を修めた70㎏ほどのごく普通の男だった。
そして、「第2回UFC」。
満を持して日本の空手家が出場する。
「極真会館」から独立し、より実戦的なルールで大会を行なっている団体のチャンピオン。「何でもありなら一番強いのではないか」と思われていた男。
「極真から派生した団体の人なんやから、この人が極真代表みたいなもんや!」
僕個人の勝手な理屈で「極真代表」にされてしまった空手家は、1回戦で前回チャンピオンの柔術家と対戦する。
「極真の空手家の正拳が当たれば、いかに相手が寝技の達人でも関係ない!」
しかし、空手家は一発の打撃を当てることもなくテイクダウンされ、絞め落とされた。
*
その後、「グレイシー柔術の長男」的な選手の活躍もあり、「柔術最強!」な流れになった。「何でもありなら打撃系は弱い」という風潮になった。
やがて「ブラジリアン柔術」というものが世界中に広まり、柔術は「MMAの必須科目」となった。「みんながある程度柔術を知っているのが普通」という状態になると、また「打撃系」が盛り返してきた。
今では、「打投極すべて出来て当然」という状態なわけで、その状態から、各々自分の最も得意なものを駆使して勝ちに行く。
MMAという土俵の中で、毎回ハイキックで倒すキックボクサーもいれば、テイクダウン&パウンドで勝つレスラーもいる。遠間からの飛び込み突きを当てる伝統派の空手家もいれば、ひたすら足関節だけを狙う寝技師もいる。
結局、「みんなちがって、みんないい」という、金子みすゞ的結論になる。
「最強の格闘技」なんて決まらないし、決める必要もない。
格闘技を愛するすべての人間にとっての「最良の格闘技」があるだけだ。
僕にとっては空道が最良、トミショーさんにとっては柔術が最良、空手最良、柔道最良、レスリング最良、キック最良、テコンドー最良、プロレス最良、サンボ最良、ムエタイ最良、中国武術最良……。100人の格闘技愛好家がいれば、100通りの「最良の格闘技」がある。
「どの格闘技が最強か」。呑みながらそんな話はしたくない。他の競技を下げるような物言いは、言いたくもないし聞きたくもない。酒も不味くなる。
「どの格闘技が最良か」。どうせなら、そんな話題で酒を吞みたい。各自、「推し」の格闘技を語ってほしい。ただひたすら自らの「推し」を、早口で褒めちぎってほしい。その際、他競技を下げる発言をした場合、1回につきマイナス1ポイント。マイナスポイントをいちばん多く貯めた者が、その場の吞み代を払う。
*
良くないすか、トミショーさん? この吞み会。いい呑み屋があるんで、予約しときますよ。あっ、オッケーですね! ほな、さっそく予約します!
……とりあえず予約したいんで、そろそろチョークを解いてもらえませんか?
最後に
いかがでしたでしょうか?
皆さんが考える『最強の格闘技』改め『最良の格闘技』は何ですか?
是非、コメントや下のツイートボタンから引用リツイートで教えてください!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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