家の近所にストレッチ専門店がオープンしていました。
入居したテナントに壁面看板が設置されていたのに加えて、自宅にビラが入っていたので否が応でも認知してしまいました。
最近多いですよね。
5年くらい前からでしょうか?
はっきりとは覚えていないのですが、ドクターストレッチなどが爆発的に店舗数を増加させるようになってから、それを模倣したストレッチ専門店が急増していますよね。

パーソナルトレーニングジムと同じで、もうすでにストレッチ専門店もレッドオーシャンもいいところだと思うのですが、それでも増え続けているのには何か理由があるのでしょうか?
ドクターストレッチってどうなんですか?
ストレッチ店ってなんでこんなに増えているんですか?
といった感じで患者さんから非常に抽象的な質問を受けることも多いので、こういった質問に対するアンサー記事のようなイメージです。
どうなんですか?とざっくり聞かれても答えるのが難しいのですが、なんで増えているんですか?の質問の答えは大体わかりますので、今回の記事はこういった患者さんからよく受ける質問に対してのアンサー記事のようなイメージで書きました。
ストレッチ専門店がいい感じに流行っているであろう理由
ストレッチ専門店がいい感じに流行っているであろう理由は沢山ありますが、代表的な点は以下の3点です。
- スタッフを集める難易度が他の形態よりも優しめ
- ストレッチ店だからこそ許される広告宣伝
- 手技系はとにかく固定費が安い
スタッフを集める難易度が他の形態よりも優しめ
求人コストが比較的安く済むのはストレッチ専門店の大きな強みかと思います。
ストレッチ専門店が働くスタッフの多くはスポーツ系の専門学校や大学などを卒業した若者です。
医療系国家資格を持っているスタッフも一部いるでしょうが、あくまでも少数派でしょう。
ですので、スタッフを募集(求人をかける)時のハードルが整骨院や鍼灸院などの他の形態よりも低くなることが予想できます。
整骨院や鍼灸院の場合はスタッフが国家資格を持っていないと施術ができないので、当然国家資格を持っている人間を採用する必要があり、素人よりも採用コストが嵩みます。
ストレッチ専門店の場合は、スタッフに支払う固定費を安く設定できますし、正社員雇用ではなく業務委託やアルバイトで雇用して、施術した分だけ支払う歩合給を高く設定したりすることで、固定費を削減できるのに加えて、採用にかかるコストも安く済ますことができるので、店舗内の人員を確保しやすく、新規やリピーター客の取り逃がしの機会を減らすことが可能です。
実際、立地の良い場所に店舗を構えて集客対策に取り組んだとしても、人手不足であればお客さんを獲得することができません。
繁盛店になればなるほど、口コミや紹介でお客さんがくることもあって、いつお客さんが来ても良いように常に手が空いているスタッフを用意しておく必要があるのですが、採用コストが比較的安く済むであろう分、お客の取り逃がしの可能性を低くすることが可能です。
実際、どの時間にも手の空いているスタッフがいるようで、ドクターストレッチなんかは駅前でよくチラシを配っていますよね。
筆者も何度もチラシを受け取ったことがあります。
チラシを見てみると、通常6000円が初回限定で500円!!みたいな激安キャンペーンを行なっていますが、要するに手が空いているスタッフがいるくらいならどれだけ値下げしてでもお客さんに来てほしいというわけです。
こういった店の料金は基本的に初回キャンペーンありきですから、通常料金はあってないようなものと考えた方が良いと個人的には思います。
集客の間口が広く、ストレッチ店だからこそ許される広告戦略
整骨院や鍼灸院は広告に関して厳しい規制がありますが、ストレッチ店や整体院などは規制がそれほど厳しくなく、野放しになっているのが現状です。
例えば整骨院や鍼灸院では『』なんてことは宣伝文句として使用することができませんが、町のストレッチ店や整体院はどうでしょうか?
看板に腰痛、膝痛、脊柱管狭窄症〜などと書いている場合がほとんどでしょう。
また、料金についても整骨院は料金を表示するのが禁止されていますが、ストレッチ店は表示しています。
お客さんは料金がわからない店には入りずらいですから、必然的に情報が分かりやすく表示されている方に足が向くのも無理はありません。
しかも、自分でやるのか人にやってもらうかで違いこそあれど、基本的にはストレッチはほぼ全人類が必要としているといっても過言ではないくらい身体にとって必要な行為です。
ストレッチを行うことによって発生するデメリットも基本的にはありませんし、なんとなく『ストレッチ=気持ち良い』といったイメージを誰もが持っていますので、施術を受けるにあたって心理的なハードルが非常に低いこともポイントです。
これが、鍼治療の場合だとどうでしょうか?
様々な施術所を渡り歩いた施術所玄人であれば話が別ですが、ほとんどの人が『怖そう、痛そう』と考えて、期待できる治療効果よりも施術を受ける際の心理的なハードルの方が高くなってしまって無意識のうちに敬遠してしまいがちです。
最近流行りの腸もみもありますが、これは明らかに特定の客層(中高年の女性)をターゲットとしているので、そういった意味でもストレッチは老若男女誰しもが集客ターゲットになりうるという点で、本当にちょうど良いのではないでしょうか?
また、ドクターストレッチ限定になりますが、ドクターストレッチという名前も良いのかもしれません。
というのも、筆者が整形外科に勤務していた際、診察室で整形外科医に対して患者が、『他所の医者では〇〇と言われたんですが、先生はどう思いますか?』と質問していたのですが、その他所の医者というのがよくよく聞いてみれば、ただのドクターストレッチのスタッフだったなんていうことが何度もありました。
施術所であれば名称に関して規定があるので、そのような名前をつけることができませんが、ドクターストレッチは単なるストレッチ屋なのでどのようにも名前をつけることができるのでしょう。
本当に何も知らない層からすれば、『名前にドクターとついているからドクターがいるんだ』と思うこともあるようですね。
この記事を読まれている人であれば、そのような勘違いをするようなことはまずないかと思いますが、世の中には色々な人がいるようです。
広告に関する規定が甘いストレッチ専門店は整骨院をやるよりも、宣伝しやすく一般層にアプローチしやすいことが考えられます。
手技系はとにかく固定費が安い
ストレッチ専門店に限ったことではありませんが、よっぽど特殊な場合を除き、手技系の店は施術を行う際に材料などを用意する必要がありませんので、固定費が安くなる傾向にあります。
例えば、筆者は鍼灸院を営んでいますが、施術に使用する鍼には拘っていますし、鍼の本数もかなり使用するので、一人施術するごとにそれなりのコストがかかるのですが、ストレッチやマッサージは施術者が身体を動かすだけで済むので材料費は無料です。
厳密には適切な施術を行うためには知識と技術を身につける必要があるので、それを得るために費やした時間やお金もコストに入りますが、これに関してはどの業種においても同じですので、とにかくローコストで開業できるのはストレッチ専門店の大きなポイントかと思います。
店の作りもそれほどこだわらなければ、開業費用も抑えることができて、ある程度設備投資を行った上で開業する必要がある整骨院や鍼灸院などと比べても経営面においては有利な店が多いでしょう。
正直言って施術のレベルは低い
肝心の施術のクオリティですが、はっきり言って低いです。
スタッフの大部分は無資格であり、店舗や会社が定めた研修が終了次第現場に出るので、人間の身体を触るのに必要な知識が足りていない場合も少なくないかと思えます。
五十肩やヘルニアでストレッチ店に行った結果、症状が悪化したなんて話を耳にしたのは一度や二度ではありません。
最低限、医療系の国家資格の保持者であれば、最低限の知識として、お客さんの悩みを聞いたときに、その目の前のお客さんの症状にストレッチは適当か否かがわかるでしょうが、ただ施術のやり方を研修されただけであれば、そのようなレッドフラッグ的な知識はないでしょうから、マニュアル通りにストレッチを実践し、良かれと思って実践したストレッチによって目の前の人間の状態を悪化させてしまうのでしょう。
ですので、痛みで悩んでいる人にはオススメできないのが率直な意見です。
しかし、超がつくほどの運動不足で日常生活において身体を動かすことが全くないようなデスクワーカーなどにとっては悪くない選択肢だと思います。
『施術のクオリティは高くない』と言いましたが、よっぽど重症な人を除けば、それほど高いクオリティの施術でなくても、肩こりはほぐれるし、腰がだるいのも解消されるでしょう。
みんながみんなゴッドハンドを求めているわけではないので、これまで全く整体院やマッサージ店などに行ったことがないような人であれば、十分身体も軽くなって良いのではないでしょうか?
店舗の立地も駅前の繁華街やターミナル駅の改札口の近く、ショッピングモールの一角など非常に便利な場所に位置しており、隙間時間などに施術を受けることができればかなり効率的かと思います。
ただ、概ねどのストレッチ店も料金が非常に高いというのが率直な感想です。
大体、どこも初回は信じられないくらいの割引で客引きをしていますが、2回目以降は60分で10000円以上の料金設定がほとんどです。
何度か試してみて相性の良い人が見つかった場合は指名することができますが、当然指名料が別途発生して、さらに追加で費用がかかります。
相当懐に余裕があれば別ですが、個人的には提供してもらえるサービスの質に対しては料金が高すぎる印象です。
ちなみに、こういった店で人気になった施術者は自分の実力を過信してマンションの一室で開業する傾向にありますが、鳴かず飛ばずで開業後すぐに閉店する場合も少なくないようです。
こういったお店の場合は、お客さんは施術者の腕についているわけではなくて、店舗(立地や雰囲気その他)についているというわけですね。
まとめ
ざっくりとまとめますと、ストレッチ専門店は初期費用も固定費も少ないし、集客もしやすいでしょうから、今後もまだまだ増えていくのではないでしょうか。
ある程度整骨院や整体院などに行きなれている人であれば選ばないような気もしますが、身体のメンテナンスを本当に全く何もしていないような人にとっては良い選択肢だと思います。
繰り返しになりますが、痛みで困っている人には個人的にはオススメできません。
まずは然るべき医療機関を受診して、その後の選択肢として整骨院や鍼灸院を検討してみるのが良いのではないでしょうか?
ドクターストレッチなどを利用する人の大部分が肩こり関連の症状かと思いますが、肩こりも本当に放置していると取り返しのつかないことになりますので、方法はなんであれ、日頃から身体を動かして労わるように心がけましょう。
ポジショントークにはなりますが、もうすでに手遅れだと自分自身で感じているような重症の肩コリストの方には鍼治療がオススメです。
最後までお読みいただきありがとうございました。