今回のブログのテーマは、ガードプレイヤーが鍛えるべき筋肉について。
以前更新した『トップから攻める選手が行うべきトレーニングについて』のボトム編になります。
ガードポジションにおいて鍛えるべき最も重要な筋肉とは何か?
トップとボトムでは鍛えるべき筋肉が違ってくるのか?
などなど気になる点を順番に見ていきましょう!
ガードプレイヤーが鍛えるべき筋肉がわかる。
ガードプレイヤーが行うべき筋トレの種目がわかる。
目次
まずはガードにおいて重要なことを再確認しよう
ガードプレイヤーにとって重要な筋肉といっても、筋肉がついて力が強くなれば、それだけでガードが上手くなるということではありません。
ガードポジションでは、
テクニック
パワーや柔軟性などの身体能力
の大きく分けて2つの要素が重要になってきます。
パスに対するディフェンスの方法などは知らないとわからないことがほとんどなので、身体能力よりもテクニックの方が占める割合が大きいかと思いますが、パワーやスピードなどの身体能力もガードにおいてとても重要です。
テクニックは技練が必要ですが、身体能力はトレーニングで向上させることができます。
今回のブログのテーマはあくまでも『筋肉』なので、トレーニング面について早速見ていきましょう!
鍛えるべき筋肉はそれぞれのガードによって様々
とは言っても、鍛えるべき筋肉はそれぞれのガードによって様々です。
スパイダーガードを得意としている人と、ハーフガードを得意としている人では、よく使う筋肉も違ってきますよね。
ただ、比較的どのガードにおいても大切になってくるのが以下の筋肉です。
腕の筋肉(掴む力、把持する力)主に前腕の屈筋群
フレーム(相手と距離を取る力)主に大胸筋や上腕三頭筋
引く力(相手のバランスを崩す力)主に広背筋や上腕二頭筋
全部上半身の筋肉で、腕の筋肉が多めですが、この辺の筋肉はどのガードにおいても重要になってきます。
別記事で、トップレベルの柔術家やグラップラーが行なっているトレーニングについての記事を書きましたが、トップ選手ともなると体幹を鍛えたりするのは勿論のこと、一般的には鍛えるのを疎かにしがちな『腕』の筋肉もしっかり鍛えています。
なぜ、腕を中心としたこれらの上半身の筋肉を鍛える必要があるのでしょうか?
グリップが命。前腕の筋肉を鍛えるべし
ガードプレイヤーに絶対に欠かせない力である『グリップ力』を鍛える為に大切になってくるのが前腕の筋肉です。
強い柔術家で腕が細い人っていませんよね?
グリップ力(握る力や把持する力)は主に前腕の筋肉によって発揮されます。
前腕というと聞きなれないかもしれませんが、場所でいうとココです。
前腕の筋肉は鍛えるのが難しいと言われていて、筋肉を鍛えるプロであるボディビルダーであっても前腕を太くするのは至難の業だと言われています。
その理由はいくつかあるのですが、最も大きな理由は、前腕の筋肉が他の上腕などの筋肉と構造が少し違うという点にあります。
簡単に説明しますと、筋肉は大きく速筋と遅筋の二種類に分けることができます。
(画像はTDK様のHPより引用させていただきました。)
『速筋』はパワーを発揮する際に使う筋肉で、太ももの筋肉などが当てはまります。
『遅筋』は持久力に優れている筋肉でふくらはぎのヒラメ筋がこれに当てはまります。
前腕の筋肉も、各筋肉にもよるのですが全体的にどちらかというと遅筋の割合が高い筋肉が多いとされていて、基本的にウエイトトレーニングで筋肉が肥大するといったような目に見えた効果が表れるのは速筋であることから、それで前腕を太くしたりすることが難しいと言われています。
ただ我々の目的は、あくまでも柔術におけるグリップの強化であって、前腕を太くする事ではありませんので、そういった意味では十分にトレーニングで強くすることは可能です。
鍛える方法は至って簡単で、リストカールやハンマーカールなどがオススメです。
リストカールでは拳を握る際に使う筋肉、リバースアームカールでは拳を立てておく時に使う筋肉をそれぞれ鍛えることができます。
また、トレーニングの方法についてもですが、前腕の筋肉は他の筋肉と比べて持久力に優れている筋肉なので、他の部位と同じく10回3セットといった方法よりも、20〜30回を数セットやるように、高回数で鍛えるのがオススメです。
また、柔術に特化した方法で鍛える場合は『バーベルグリップ』や『道着懸垂(ぶら下がり)』がオススメです。
バーベルグリップは特にこういった種目名があるわけではないと思いますが、グリップを鍛えるには非常に有効なトレーニング方法かと思います。
方法はとてもシンプルで、デッドリフトのトップ姿勢で、可能な限り長い時間バーベルを保持し続けるのみです。
↓このポジションでず〜〜っとバーベルを握ったままキープする。
かなり地味なトレーニングですが、終わった後は前腕がパンパンになる良種目です。
道着懸垂は言葉そのままで、道着を使って懸垂をするだけです。
スパイダーグリップやピストルグリップなど、様々なグリップで行うことによって前腕をガッツリ鍛えることができます。
スパイダーガードやラッソーガードをする場合は、前腕の筋肉をかなり酷使することになるので普段からしっかりと鍛えておくことようにしたいところですね。
フレーム
続いて重要になってくるのが押す力。
具体的には、相手と距離を取りたい時にフレームを作る際に必要になってくる力です。
この力がないと、すぐに相手のプレッシャーに負けて潰されてしまいます。
フレームは、肘を伸ばしきると関節がロックされるのでその力で作れますが、同時に押す力も鍛えておくと相手を遠ざけることが簡単になります。
押す力に関係する筋肉は多数ありますが、特に重要なのが大胸筋と上腕三頭筋。
言わずもがな、この2つの筋肉はベンチプレスで鍛えることが可能です。
柔術家でベンチプレスを知らない人はいないと思いますので、詳しい説明は省きますが、YOUTUBEに有益なベンチプレスの解説動画があったので載せておきます。
肘を伸ばす時に使う上腕三頭筋もベンチプレスで働きますが、上腕三頭筋を単独で鍛える種目も行うことをオススメします。
腕立てを行う際に、両腕の幅を狭くして行うとそれだけで上腕三頭筋への刺激を増やすことができるので、自重でトレーニングしている人にはオススメです。
ダンベルがあれば、トライセップスエクステンション(ダンベルやバーベルを持って肘を伸ばす)などでしっかり刺激を入れるとベストでしょう。
グリップ力(相手を引きつける為に)
続いては、ガードからアタックを仕掛ける際に重要になってくる筋肉です。
ガードからアタックを仕掛ける際に大切になってくるのが、相手の頭の位置を動かすこと。
ガードからスイープやサブミッションを狙う場合は、相手のバランスを崩さなければいけないので、相手の重心を動かす必要があります。
相手の重心を動かすためには、相手の頭の位置を動かすのが手っ取り早くて簡単。
そのために重要になってくるのが相手の襟を引く力です。
襟を力強く引く為には、先述したように前腕の力によるグリップ力も重要ですが、それと同時に背筋や上腕の力も必要です。
具体的にいうと、広背筋や上腕二頭筋が非常に重要ですね。
広背筋は脇を閉じる時に使う筋肉で、上腕二頭筋は肘を曲げる時に使う筋肉です。
具体的なトレーニング方法として、広背筋は、ベントオーバーローイングやワンハンドローイングなどの種目がオススメです。
少し重めのダンベルやバーベルを使って行うと強烈な刺激を入れることができます。
↓ベントオーバーローイング(しっかり上半身を立てて、肘を引き切ることが大切。)
↓ワンハンドローイング(スタート位置でストレッチをかけることが大切)
上腕二頭筋は、バーベルカールやダンベルカールなどのシンプルな種目で鍛えるのがオススメです。
トップもボトムも共通。下肢のトレーニングは必須
トップもボトムも共通して、下肢(骨盤より下)の筋肉を鍛えておくことが重要です。
柔術だけに限らず、脚の筋肉はスポーツのパフォーマンスの発揮に非常に深く関わっていますので、どの種目の選手でも鍛えておきたい部分です。
お尻と脚は上下どちらでも超重要
トップ編で紹介した通り、お尻と脚の筋肉は安定したベースを作るのに大切ですが、ガード編においても、スイープやサブミッションを仕掛ける際のダイナミックな動きに欠かせない筋肉です。
ガードが上手な選手は、身体が柔らかいのは勿論ですが脚の筋肉もしっかりついています。
マルセロなんかは半端なく太い脚してます。
これは極端な例ですが、下からのサブミッションが強い選手だったりガードがめちゃくちゃ強い選手は、なんだかんだ言ってお尻とか脚の筋肉がめちゃくちゃ強い人が多いですね。
意外に重要!内転筋
意外に重要になってくるのが『内転筋』です。
ハーフやクローズドなどの脚を閉じるタイプのガードでは超重要な筋肉の一種です。
ずーっとハーフやクローズドで脚を閉じていて、内腿が攣りそうになったことってありませんか?
私は長い時間クローズドガードをしているとよく攣りそうになります。
脚を閉じるためには内転筋と呼ばれる内腿の筋肉が重要です。
ハーフでは相手の足が抜けないように、足に対して三角絞めをするように足を閉じなければいけないし、クローズドでは相手にガードを開けられないように常に脚を閉じていなければいけません。
それなのに内転筋が弱いと脚を閉じておくことができずに、すぐにガードを開けられてしまいます。
ハーフガーダーやクローズドガード使いは内転筋をしっかりと鍛えるようにしておきたいところです。
ジムに通っている人は、ヒップアダクションというマシンで鍛えるのがオススメ。
器具がなければ自重で鍛えましょう。
足幅を広めに構えたスクワットでも刺激を入れることができます。
内転筋は工夫次第で様々な鍛え方がありますので色々試してみるのがオススメです。
まとめ
いかがでしたか?
今回はガードプレイヤーが鍛えるべき筋肉として
前腕屈筋群(掴む、把持する力)
大胸筋、上腕三頭筋(押す力)
広背筋、上腕二頭筋(引く力)
を紹介しました。
どれもガードプレイヤーにとって非常に重要な筋肉ですので、しっかり鍛えてガードを強化しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
以下、今回の記事を書くに当たって参考にしたトレーニング関連の書籍です。
目で見る筋力トレーニングの解剖学
スターティングストレングス
今回の記事で紹介したトレーニング種目については勿論、そのほかにも全身を鍛える様々なウエイトトレーニングの方法がわかりやすく図式されている書籍なので非常にオススメです。
トレーニングについて興味のある人は是非チェックしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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また、この他にも柔術家の皆様にとって参考になる記事を多数更新していますので、是非サイト内をチェックしていただければ幸いです。