柔術家インタビュー企画第6弾!!
先日から始めた柔術家インタビュー企画も今回で第6回目になります。
先日公開した柔術家インタビュー企画第5弾では、モンスターハウスの岩井さんに登場していただき、『白帯から青帯まで』について語っていただきました。
人気シリーズとなりつつある柔術家インタビュー企画。
第6回目となる今回は、高槻柔術所属『クワーニョ先生』こと桑野さんに登場していただきます!
クワーニョです。
よろしくお願いします。
クワーニョ先生は、最近黒帯を取得されました。
この記事を読んでくださっている方のほとんどが柔術家だと思いますが、
中には『黒帯』を目標に柔術を続けている方も多いのではないでしょうか?
当ブログの管理人である私もその内の一人です。
今回のインタビュー記事では、最近黒帯になったばかりのクワーニョ先生に、
柔術における『黒帯』と『帯の色』をテーマに語ってもらいます。
柔術黒帯のすごさがわかる
柔術で昇帯するのに大切な考え方がわかる
目次
クワーニョ先生基本情報
名前 桑野秀紀(くわのひでのり)
生年月日 1978年6月21日
所属 高槻柔術
帯色 黒帯
階級 ミディアムヘビー級
紫帯
2016
IBJJF Japanese National 柔術選手権階級別優勝
IBJJF アジア柔術選手権階級別優勝・オープンクラス3位
2017
IBJJF アジア柔術選手権 階級別優勝
茶帯
2019
JBJJF 関西柔術オープントーナメント オープンクラス優勝
IBJJF TOKYO INTERNATIONAL OPEN 階級別優勝
JBJJF 全日本マスター柔術オープントーナメント 階級別優勝
2020
JBJJF FULLFORCE CUP 05 階級別優勝
柔術を始めたきっかけ
さっそくですが、まずは桑野さんの柔術歴について聞かせてもらいます!
柔術を始めたキッカケは何だったんですか?
実はその中の一人が神戸イサミの西川店長なんです。
一番最初のキッカケはそれですね。
格闘技ショップの店長はやはり格闘家なんですね!(笑)
今でこそグラップリングがブームになっていますが、個人的には当時はそこまで人気がなかったように思いますが、桑野さんは柔術よりもグラップリングを先に経験されていたんですね。
その後、仕事など色々な事情で一旦ジムを辞めたんですが、それから数年経った際に、『また何かやりたいな』と思い、31歳の時に、以前やっていた時の先輩達がまだ常設ではなく、体育館でやっていた高槻柔術に行っていたのを思い出して高槻柔術に入門しました。
もともと知り合いだった方とできるとまた一緒に練習ができるなんて素敵ですね。
黒帯になった実感について聞いてみた。
ザックリとした質問ですが、桑野さんは黒帯を頂いた際に『黒帯になった実感』はありましたか?
実は黒帯を頂く前に、高槻柔術の東代表より、自分の目標だとか活動だとか色々な面でご配慮頂き、黒帯内定のお話を事前に頂いたんです。
相談したのは道場内外1人ずつなんですが、2人共、私が黒帯になることを本当に喜んでくれたこともあって、黒帯を頂くことに決心がつきました。
それから1週間後位に帯を頂いたのですが、その時には黒帯はもうゴールではなく通過点へと変わっていましたね。
自分の門出や晴れの日を本当に喜んでくれる仲間がいるのは凄く嬉しいことですね。
確かに黒帯は一つのゴールだと捉えられがちだと思いますが、あくまでも黒帯になってからが本当のスタートだなんて言葉もありますもんね。
帯の色は何を示しているのか?
柔術をやっている人は、皆んながみんな強さを求めている訳ではありません。
楽しく趣味として柔術をしている方々にとっては、帯色を強さとリンクしてみるよりも、各色帯を巻いている方の柔術への取り組み方を見ている人達も少なくないと思います。
ある先輩は柔術に対しての目標や意識がしっかりあり有言実行をされていて、柔術家として尊敬できる方。
またある先輩は人格者として誰隔てなく対応が出来て、人として尊敬できる方。
強さはもちろん大切ですが、帯の色は柔術との向き合い方を表しているとも思います。
白帯のほとんどが青帯になるまでに辞めてしまう件について。
桑野さんはこれについてどう思いますか?
でも、それは先に始めた私たちにも問題があると思います。
辞めてしまうことについてですが、今の日本の柔術界において大きく分けて2つの理由があると思います。
ジム・道場の数もかなり増えましたし、ネットの普及により情報も調べやすくなったので柔術に対する敷居が下がったことがあるかと思います。
SNSやファッション誌などの影響もあって、柔術がかなりオシャレなイメージを持たれるようになりましたよね。
僕が柔術を始めた頃はすでにブログやSNSなどを更新している道場が結構あって、入会するジムを選ぶ時に結構参考にしましたね。
今は有名な俳優さんや女優さんもやっていたりして、かなりイケてるスポーツのイメージが定着していますよね。
新しく始めた人に、先輩である我々が柔術の楽しさや魅力を伝えきれていないのかもしれません。
そういった意味では先に始めた我々にも責任がありますね。
もう一つの理由としては、道場・ジムは増え始めているが、まだまだ施設や練習環境が整備されていない部分が多い事です。
一般的に知り渡り始めているが、柔術への格闘技としての考え方や価値観の違いが、世代間・性別等で如実にある所だと私個人は考えています。
柔術人口を増やすために
今後、辞めてしまう人を少しでも減らして、柔術人口を増やしていくためには何が大切だと思いますか?
先程も言ったように、確かにジム・道場の普及は少しずつ始まっていると思いますが、建物内の作りがまだまだ格闘技の古い感じがするところが多いです。
スポーツジムのように男女問わない設備にした方が良いと思います。
沢山の道場への出稽古経験がある桑野さんがおっしゃるなら一理ありますね。
『格闘技=男性』というイメージはもう白亜紀くらい古いと思うので、この辺は変えていく必要があると個人的には思います。
確かに、柔術人口を増やそうと思ったら、女性を取り込むことも大切ですよね。
女性は、更衣室やロッカーなど施設の綺麗さにも敏感ですし。
また、格闘技が世間的にも盛り上がり始めたり、SNSなどの影響で古くからある敷居が下がれば、これまで格闘技とは無縁だった方々が入会してくると思います。
正直、これを理解して柔軟に対応できる方が、これからの時代、経営者や指導者として大成するのではないかと思います。
ひいては、それが柔術を辞めてしまう人を減らすということに繋がると思います。
経営者や指導者としてだけでなく、いち会員としてもダメですね。
昇帯したい人が大切にしたい考え方。
そして、『初心を忘れないこと』です。
やっぱり何はともあれ、『楽しむ』事が一番大事ですよね。
目標を常に作るという点も、とても大切ですよね。
そういう意味では、現在のコロナ渦の試合のない日常というのは、目標を作るという点において非常に難しいかもしれませんね。
桑野さんは今までどのような目標を立ててきましたか?
個人的には、尊敬する先輩が大きな大会で挙げた実績を自分も挙げたいと思い、国内レベルの高い大会での優勝を目標においてやっています。
試合も大切ですが、普段の練習から課題を持って取り組むということが大切ですね。
これなら試合がない現在でも十分取り組めそうです。
練習を楽しむということにも繋がりますしね。
確かに、帯の色が上がってから技練に出なくなったりする人もいますもんね。
(耳が痛い、、、)
私もその考え方を大切にしています。
『黒帯は諦めなかった白帯だ』という名言について。
確かにこれは一理あると思うのですが、、、、
クワーニョ先生、実際に黒帯になってみてこの言葉についてどう思いますか?
『黒帯とは決して諦めなかった白帯である』柔術界では有名な名言です。
もちろん諦めたり辞めたりは個人の問題だと思います。
これは先ほども言いましたが、私よりも、周りの方々が本当に喜んでくれたんです。
同門の会員の方には、どの色帯の時よりもお祝いの言葉などをかけて頂けましたし、外部指導先の会員の皆さんにも凄く喜んで頂けました。
他にも、黒帯になった時だけでなく、各帯毎にいろんな方々と知り合い、交流を持ち、切磋琢磨したり、叱咤激励を頂いたりすることがありました。
なので、私にとっては『黒帯は責任と覚悟を背負ってきた白帯』だと思っています。
レフェリー活動について『柔術家よ!もっとルールを学ぶんだ!』』
レフェリーとして活動しているのには、何か理由やキッカケがあったんですか?
関西にはレグナムJAMという柔術大会があって、その大会で東代表や道場の先輩が普通にレフェリーをされていたので、自分も紫帯を取得したら普通にやるものだという感じでした。
僕の所属している道場にもレフェリーとして活動している先輩がいます。
レフェリーは常に変わりゆくルールを知り尽くしていないといけないし、レフェリーをやることによって良い点もあれば大変な点も多そうですね。
レフェリーはより柔術に詳しくなれる
それは何よりも柔術のルールを学べる事。
そして、ルールを学ぶ事でよりスパーや試合で戦略を立てたりできるようになるのもメリットですね。
柔術の試合ではポイントやアドバンテージなど、戦略を考えることが本当に大切なので、試合で勝つためにルールを学ぶことは必須ですね。
ただ、自分もそうなんですが、どうしてもルールについて勉強するのが疎かになりがちです。
そうじゃないというのは、ルールを学ばない方が多い事ですね。
入会したてや白帯の方ならまだしも、道場の代表やインストラクターなどの指導する立場の方が学ばないのは怠慢だと思います。
だから、一時期関西でのJBJJF主催大会の機会に何度かルール講習を企画して頂いているのに、受講される方はレフェリー審査受験者や大会レフェリーを務める方ばかりでした。
後、知り合いの茶帯や黒帯の柔術家さんにルール講習の受講やレフェリー業務や審査会などをお願いした時、即断られる事が多かったですね。
それぞれ事情があるかもしれませんが、即断るというのは考えものかもしれませんね。
試合で勝つためには、テクニックだけでなく、ルールも学ばないと勝てないという考え方の人が多いようです。
確かにこれは事実で、実際私も、ルールを知っていたから勝てた試合がありました。
セコンドをする時に役立つ事も沢山ありました。
このコロナ渦で、IBJJFが開催しているウェビナーというオンラインルール講習会が日本でも行われています。
黒帯証明証申請にも必要なので受講される方も多いのですが、個人的に凄くいいなと思うのが、ルール講習会を受講してもテストである一定の成績を残さないと修了証が発行されない事です。
その時に、先ほどの理由を説明したら凄く褒めていただけました。
理由としては、高槻柔術の東代表が技術だけでなく、ルールなども会員の方に教えたり、そういう機会に自分から立ち、後進の育成が行えるアカデミーを運営されている事。
私の道場選びがとても良かったと言ってもらえました。
ここが辛いよ、柔術レフェリー
まずは、良い点の裏返しなのですが、常にルール・知識の更新を勉強し続けなければいけないこと。
実際のレフェリー業務に関わることですから妥協してはいけないですし、それに伴う失敗は許されないですからね。
IBJJFでは最近、ノーギでヒールフックが解禁されたりとルールは常に変わっていますもんね。
他に実際あって困るのは、ネットの普及によってレフェリーを紛糾しようとする人がいる事。
なので、試合動画などに映ることも多い分、指摘の対象になる事は当たり前のようにあります。
そういうプレッシャーに負けてしまう人もいると思います。
選手も必死なので気持ちは理解できますが、試合後にSNSなどで悪口と一緒に動画をあげていたりするのはあまり気分がいいものではありませんね。
自分自身受け止めていても、それをネタに大会主催団体を紛糾する方もいますからね。
大会関係者の方が、私よりももっと苦労があると思うのでいつも感謝しかないです。
気になる柔術レフェリーの金銭事情
レフェリーの方々には、報酬や手当などが支払われているのですか?
お給料、飲み物、お弁当です。
交通費は基本無しですね。
大体、大会地域の地元の方をレフェリーやスタッフとして雇用する事が多いので無いのだと思います。
そういえば、JBJJFのスタッフの方のSNSか何かで、JBJJFカレーなる物を見た覚えがあります。
東京の大会で出てくるJBJJFカレーです。
愛知は柔術が盛んですし、ブラジル人の方も多いからブラジル弁当なんですかね。
ちなみに弁当の横に写っている、真っ黒の汁物っぽい物はなんですか?
お、お味のほどは如何なんでしょうか?
塩味でスープカレーみたいにご飯を浸して食べました。
ちなみに、翌年の大会ではフェジョアーダ丼になってました。
豆嫌いな自分には厳しそうです。(恥)
ちゃんとお給料も発生していますし。
いやらしい話、よく色んな方にお給料の事を聞かれるのですが、私自身はレフェリー業務に見合う報酬だと思います。
ただ、正直お金の事しか考え無い方には勤まらないと思います。(笑)
逆に、遠征先でレフェリー業務をお願いされる事もありますが、その際交通費の支給はありません。
地方から首都圏に遠征するとなると意外と費用がかかるものですもんね。
関西でいえば、吹田柔術の新川先生くらいです。
IBJJF主催の日本国内の大会でレギュラーでいえば、関西柔術界で唯一無二の方ですからね。
吹田柔術は物理的にも僕の家から目と鼻の先ですし、指導も受けた事があるので勝手に近しい方だと思っていましたが、改めてリスペクトを感じます。。。
JBJJFレフェリーの方々。
大会が開催されて、試合を裁いてくれるレフェリーがいることに感謝しなければいけません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のインタビュー記事では、高槻柔術のクワーニョ先生こと、桑野先生にお話を伺いました。
柔術の帯の色は『強さを表す意味だけではなく、責任の重さを表している。』
クワーニョ先生による言葉です。
強さを表すという事は勿論、帯の色はそれ以外にも様々な事を表しているかもしれませんね。
皆さんは、帯の色についてどのようにお考えですか?
是非皆さんの意見を聞かせていただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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